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第185話 アサと一緒
「分かった、アサ。じゃあこうしよう」
いつもは優しいニールの声には熱がこもっている。僕の手の中で硬くたったソレは、恋人に見つめられていることを喜ぶかのように、だらしなく涎を垂らしていた。恥ずかしいのに、珠のようにぷつりぷつりと溢れて先端を濡らす。
「ワッ、ン!?」
ただでさえ至近距離で、自分の恥ずかしい姿をニールに晒していたというのに、力強い腕によって、僕の体はより一層密着するかのように前に寄せられた。これじゃあ、まるで体を繋げているみたい。それくらい僕の下半身はニールにくっついていて、今から何が起こるか分からない不安と、僕の知らない何かが起こる期待感で、頬が熱くなるし肌が汗ばんでいく気がした。
「こうやって、一緒に握れるか?お前の小さな手じゃ無理かな」
「テ?ッア、ンッ、ァンッ」
「そう、こうやって俺も手伝うから、くっ」
ぎゅっと握られた瞬間に快感が背筋を通る。求めていた刺激が戻ってきたと同時に、想像外に感じたのは、僕のと一緒に握られている大きくて太いニールのモノで。ニールの手が2本を握る僕の手を上から包み、止めることを許さない、と言うかのように強く意思を持って動く。
どちらのモノも熱くて硬い。自分だけが興奮していないんだって、不思議な安心感を僕は心の奥で感じた。大きな手のひらと、お互いの性器に挟まれた僕の手は、多分……何の意味もなしていないんだけど。一緒に扱いている、って考えると、頭が真っ白になりそうになる。
「気持ちいいか、アサ?お前の先走りで動かしやすいな」
「ャン、ンッア、ニー、ルッ。マッ、テ、ァァ……」
何も知らなかった僕は、船に迷い込み、ニールに出会ったことで色々学んだ。その中には、もちろん、こういうことも混ざっていて。未知の快感を少しずつ教えてくれるのが、ニールで良かったなって思う。
滑りやすくなった手の中からは、ぐちゅぐちゅと厭らしい音が聞こえてくる。
「はぁ、やばいなこれ。すぐイケそう」
「ンゥ」
チュッチュッと音を立ててニールが僕の首筋に吸い付く。独り言のように呟かれた言葉を理解しようとする余裕さえ、僕にはなかった。
首筋を吸われるたびに、ニールの髪が僕の肌を擽る。真っすぐすぎる僕の髪とは違って、癖があり、柔らかい髪はふわふわと優しい快感を与えてくれた。
「ニールッ、ニールッ、ァアンッ、ンゥ――」
「イキそうか、アサ?」
口から漏れるのは意味もなさない音ばかりで、ニールの問いかけに僕はゼンマイ仕掛けのおもちゃのようにコクコクと頷き続けた。
限界がもう目の前に来ている。喘ぎ続けた喉は乾いて張り付きそうだし、動かし続けた手は痛ささえ感じ始めた。それでも、止めることができないのは、これから来るってわかっている絶頂を追いかけているのと、ニールの手が僕の手を覆っているから。
「ああ、アサッ、アサ」
「ァァン、ンゥ――」
大好きな声に名前を呼ばれた瞬間、目の前がバチバチとはじける。小さな泡がしゅしゅわと溶けていく感覚に体中が包まれた。
「ああ、アサ、いい子だ。可愛いよ」
「ンッ、ニール……」
小鳥がつばむみたいに僕の頬をニールが口づけていく。
段々と靄が晴れてきた頭を動かし、視線を下ろすと、愛液がお互いの体を汚していた。ぐちゃぐちゃなのは下半身だけじゃない。手も、太ももも、お腹も……多分、シーツにも飛んじゃってる。
う……どうしよう。
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