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第193話 ケンの提案

「その辺はアサ本人と確認したほうが良いでしょう。勝手に決めてしまったら後から大変なことになりますよ」 「そうだよね!!わかった、今からアサに聞く!」 「あと、ニールにもアサをお借りします、と頼むんですよ?」 「なんで!?」  アサのことなのに、何でニールに頼まなきゃいけないわけ!?最近ずっとニールのことでアサと遊べなかったんだから、僕と一緒にいたいはず!ニールはめちゃくちゃ関係ないよ?! 「お忘れかもしれませんが、アサは恋人のニールがやっと意識不明な状態から目を覚まされて付き添っているところです。片時も離れずに一緒にいたいと思うのは当然のことではないでしょうか」 「でもお医者さんも、2泊以上されると困る、みたいなこと言ってたんだよね?」 「船長の話によるとそうですね。もともと付き添いの方が宿泊できるような施設ではないですし」 「ってことは、アサは今日他のどこかに泊まらなきゃいけないわけでしょ?」  だから答えはひとつ! 「アサは僕と泊まるってことだよね」 「決まったような言い方をされてますが、本人にまず確認を」 「分かってるって!えーっと、この部屋だったような――」  しつれいしまーす!って大きな声であいさつしたら、後ろからショーンに口を塞がれちゃった。病院では静かにって何度も言われてるのに、なかなか慣れなくて身につかないなあ。 「お前本当に学習しねー人間だよな」 「船長、ひどい!」 「出禁になったらお前のせいだからな、ケン」  うううう、そんなことになったら大変だから静かにしてなくちゃ。  壁の近くに立っている船長が左右に首を振ってため息をついてる。分かってるんだってばぁ!僕だって静かにしようとは思ってるんだって! 「あ、アサぁぁ!感動の再会だねぇええ!」 「シー!ケン、ウルサイ」 「ごめん~!でも感動の再会だから小さな声で言うから許してー」  うひゃぁあちょっと興奮したら大きい声が出ちゃったよ。  船長は眉間にしわを寄せたまま僕の頬をひねってるし(すっごく痛いんだけど!?)、ミリさんはやれやれって顔して天井を仰いでる。  そういえば、肝心のニールが静かだな? 「ニール、生きてる?」 「ああ、生きてるよ。死んでても誰かさんの叫び声のせいで生き返ってるはずだ」 「そんなに!?」  ベッドの横に座ってるアサが両手で耳を覆った。うう、また叫んじゃったよ。  視界の隅で、ショーンとミリさんが静かに言葉を交わしながら紅茶を作ってるのが見える。僕にもちょうだい!って言える前に、上半身だけ起こした状態でベッドに乗ってるけが人が声をあげた。 「自分がうるさいっての自覚しろよな。それより、今夜のことだけど――」 「アサのこと!?」 「ああ、ここに泊まれないみたいだから」  僕が!僕が話したかったことだあああ!!!!!!!!!! 「僕!僕と!僕と一緒に!」 「ケン、ウルサイ」 「ご、ごめんなさい、アサ。あのね、僕の部屋で一緒に泊まったら良いと思うの。どうかな?」   

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