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ボクの願い~行く場所~

 龍サンたちと敵対している、『ゾク』? に襲われ、助けて貰ってから三日が過ぎる。ご飯を与えてくれたり、夜はこうして一緒に寝てくれたり、相変わらずボクを傍に置いてくれるものの、ずっとこんな調子だ。  いつもなら、『いや』で終わらせるんだけど、今日はほんのちょっぴり本当のことを言ってみる。だってずっとこんなやり取りするのは嫌だモン。 「行く場所ない」  ボクってば人間になったから、どこにも行くあてがない。 「家族は?」 「去年、交通事故で、天国に行っちゃった……」  ボクのお父さんとお母さんは人間が乗る、箱みたいなおっきなカタマリにはね飛ばされた。  それ以来、ボクは仲間たちと一緒に過ごしていた。  ご飯は近所のおばあちゃんがくれるお魚と、それからゴミ箱をあさって過ごしていた。  お父さんとお母さんのことを考えると、ものすごく悲しい。  今までは仲間がいたけど、人間になって、龍サンの傍にいるようになってからは、もうひとりぼっちになっちゃった。  ボクにはもう、龍サンしかいない。  その龍サンにも捨てられたら……ボク、どうなっちゃうんだろう。  ひとりぼっちだと思うとシュンとしてしまう。 「……悪かったな。嫌なことを思い出させた」  龍サンの手が、またボクの頭に乗る。  ポン。  ポン、ポン。  頭を撫でられるのが心地いい。 「年齢は……少し細身で背も低いが、大学生くらいだよな? どうやって生きてきたんだ?」 「一緒にいてくれるひとを頼りに……」

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