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嫌われたッ!?~セックスってなに?~

「せっくす?」  それって何?  訊かれて答えたら、意味のわからない言葉があった。  ほら、ボクって元は猫だから、人間の言葉は少し難しいんだ。 「おい、お前ら。いい加減にしろよ」  ボクが固まっていると、龍サンは今度はお仲間サンを睨む。  でもやっぱり龍サンはみんなにとっても恐くないみたい。どんなに睨まれても、龍サンは優しい人だってみんな知っているんだよ。  だからお仲間サンは、龍サンを無視する。 「セックスは愛の証だよ? あれ、もしかしてまだなの?」  それってしないと愛されてないってことになるの?  頭の中がグルグルする。色々考えていたら、いつの間にかボクは龍サンの家に戻っていたんだ。 「龍サン、ボクのこと。嫌い?」  ボクはソファーでくつろいでいる龍サンに(たず)ねた。 「そう言ったらお前はここから出て行くのか?」  龍サンの薄い唇が微笑を浮かべている。  なんだか今の龍サン、すっごい意地悪だ。  ボクは龍サン以外に頼れる人なんていないのに……。 「……っつ」  胸がズキズキする。  龍サンの突き放されるような言い方に、目には涙が溜まる。 「ああ、もう。泣くな。そんなこと思ってねぇよ」 「でも、でもでも、『せっくす』? は、してくれないの?」  お仲間サンが言っていた言葉を思い出して訊いてみる。  そしたら龍サン、いったいどうしたんだろう。眉間に深い皺が寄った。  ボク、何かいけないことを言ったのかな? わかんない。 「別にしなくてもいいだろう? それにお前はそれの意味を知らんだろう? ……まあ、前座はされていたが……というか、春を売って生活してたんだよな。知らず知らずに抱かれてたのかこいつ……」

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