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嫌われたッ!?~ゼンザってなに?~
「ゼンザ?」
それって何?
やっぱりわからなくて龍サンに訊いてみる。
「ここに来る前。お前、縄張り争いのとばっちりを受けて襲われていただろう。奴らの一物を咥えさせられただろうがよ」
猫のボクの時にもあった同じもの。あれがまさか人間にもあったなんてびっくりだった。
自分にもあるあれを無理矢理咥えさせられて、息が詰まるかと思った。
前座? あれって前座なんだ……。
じゃあ、龍サンにそれをしたら、龍サンはせっくす? する気になるのかな。
「龍サン」
ボクは龍サンに手を伸ばし、ジッパーを下ろす。
そしたら見えるのは、ボクと同じものだけど大きさが全然違う。龍サンの雄だ。
「おい、お前何やって!! って、言った傍から何しようとしてんだよ!」
「咥えたら、せっくすする気になるでしょう?」
ボクは前に咥えさせられた時と同じように口を大きく開ける。
「俺を他の奴らと一緒にすんじゃねぇ!」
ベロを伸ばして頑張って前座しようとしたボク。だけど龍サンはボクの肩を引き剥がし、手を……払われてしまった。
「もういい。お前、出て行け」
大きな怒鳴り声が室内に響いた。
その声は、ボクが初めて襲われた時――ボクを襲った相手に言った龍サンの声と同じもの。
龍サン?
どうしてそんなに怒っているの?
「ボクは!!」
ここを追い出されたら、行く所なんてない。
龍サンを怒らせる気なんてなかったんだ。ただもっと龍サンと仲良くなりたくて、ずっと一緒にいたくて……だからしただけなのに……。
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