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嫌われたッ!?~龍サンのお友達サン~
「俺は真樹 。龍の先輩……かな。三毛くんのことは皆からよく聞いているんだよ。もし君が三毛くんなら、きっと今頃、龍は心配しているんじゃないかな」
龍サンの先輩。お仲間サンっていうこと?
「心配……してないモン。ボク、追い出されたから……っひ、っひ……」
龍サンに嫌われたことを口に出したら、胸のズキズキがいっそうひどくなった。呼吸ができない。
嗚咽ばかりが口から飛び出る中、真樹サンはボクの頭を撫でてくれた。
龍サンとは違う、優しい撫で方に、ボクは余計に泣いてしまう。
「さてね、それはどうかな? 龍はああいう性格だからね。なかなか素直じゃないんだよ。そこが困りものだよね」
真樹サンは苦笑を漏らした。
「だいたい、あの人付き合いの悪い龍が誰かと一緒に過ごすなんてきいたことがないもの。大丈夫、事態は思ったよりも悪くはないよ。あ、噂をすれば何とやらってね。じゃあね三毛くん、またお話しようね」
続けてそう言うと、ボクの頭にあったあたたかな手が消えた。すぐにどこかへ行ってしまった。
真樹サンがいなくなってボクひとりになったこの一帯が、また、静かになる。
真樹サンはああ言ってくれたけど、そんな都合のいいことにはならない。だって龍サン、すごく恐い顔してた。あんなに怒ってたモン。
……嫌われちゃった。
「胸が、いたいよ……お母さん、お父さん……ボク、こわいよ……」
大好きな人がいない世界で、どうやって生きていけばいいの?
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