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優しい龍サン~大きな手~

 ◆  スズメさんがチュンチュンいってる。  窓から入ってくるお日さまの光があったかい。 「龍サン……」  ふわふわもこもこのお布団に包まれて、それで大好きな龍サンがいる。  ……あったかい。  龍サンから香ってくる匂いはなんだろう。ちょっと鼻がツンってするけどそよ風みたいに軽い匂い。  気持ち好い。ボクが大好きなひなたぼっこをしてる気分だ。  スリスリ。  広い胸板に頬ずりしたら、大きな手が頭を撫でてくれるんだ。  まるでお母さんみたい。 「龍サン……」  喉をごろごろさせて龍サンを見つめる。  どうしよう、幸せすぎて涙が出てきちゃう。  こんなに穏やかな気持ちになるのはお父さんとお母さんが死んじゃってからはなかったのに……。 「……だめだ」  龍サンは、ぼそっとそう言うと、ベッドから起き上がった。 「ふえっ?」  もうナデナデ終わっちゃうの?  もっとずっとくっついていたかったのに……。  眉が下がっていくのが自分でもわかる。  それくらい残念だなって思ってるの。  ボクはしばらくボーゼンとしていたら、龍サンはまだ毛布に包まっているボクを見下ろした。 「おい、今から家に行くぞ」 「家、って?」  どういう意味? 「ここが龍サンのお家でしょう?」  首を傾げて聞いてみたら、龍サンは、「もっと安全な場所」とそう言った。 「?」  あんぜん?  安全ってなに?  龍サンはいつも優しくてあたたかい。安全だよ?  やっぱりボクはよくわからなくて首を傾げていると、真っ白なランニングシャツとズボンを着ただけの龍サンは真っ黒のシャツを羽織った。

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