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キミがスキ!~ズキズキ~
「何してやがる!!」
誰かの悲鳴と大きな音がたくさん聞こえた瞬間、ボクの身体が地面に落ちた。
「おい、大丈夫か?」
見上げれば、そこには大好きな龍サンの顔があったんだ。
「っひ……迷惑だって知らなくて。ボク、ごめんなさいっ」
龍サンの腕から抜け出し、この場所から去ろうとしたら、腕を引っ張られて、また龍サンのところに引き戻された。
「おいおい、待て。その格好で動くな。ったく、これだから俺に近づいちゃいけなかったんだ」
「龍さん、此奴どうするんですか?」
「……持って帰る」
「えっ? そうなんですか?」
「なんか文句でもあんのか?」
龍サンが睨んで仲間の人を見ると、その人は大きく首を振って必死そうだ。
「いえ、何もありません!!」
「良かったな、まあ、言い寄られた龍さんもまんざらじゃなかったもんな~」
「煩せぇっ!!」
龍サン、何が煩いんだろう。
ボクはみんなと龍サンが話している内容もよくわからなくて、首を傾げてしまう。
「可愛がって貰えよ」
ポンポンと頭を撫でてくれた。お友達さんも優しい人だ。
ボク、迷惑じゃないのかな?
チラっと顔を見れば、困っているような顔をしているものの、怒ってるふうじゃないみたい。
太い眉毛がハの字になっている。
裸になっちゃった身体が布にくるまれ、大きなカタマリに乗せられてやって来たのは、大きな大きな人間の住処。
ビルっていうものの中にある家。
ココって、どこだろう。ものすごく広い。
ボクは口についた苦いものを、布で拭かれ、ふんわりしたふかふかな場所に下ろされた。
「……お前、やっぱ帰れ」
「龍サン?」
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