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やって来ました龍サンのお家!~厳格なお爺ちゃん~
でもね、龍サン。
みんなせっかくご挨拶しているっていうのに、さっきからなにも言わないのはどうして?
首を傾げたまま、ボクは龍サンとお出迎えしている人たちを見比べていると、突然、龍サンがボクの手を握ってきた。
一歩前を進む龍サンは、そうしてボクを引き連れて堂々と歩いていく。
龍サンのぬくもりが繋がった手からじんわりボクの中に広がる……。
……ううっ、ドキドキする。
だけどこのドキドキはすっごく楽しいから好き!
手を繋いでもらうの、すごく嬉しいッ!!
まっすぐまっすぐ。
出迎えてくれる人たちの前を通って玄関に入る。
そうしてぐるっと家を囲む廊下をずっとずっと歩いて行くと、奥の部屋に着いた。
「龍です、ただ今戻りました」
障子の前に立ってお辞儀する龍サン。
だからボクもお辞儀をする。
そうしたら、「入れ」と中から嗄れたなんだかとっても怖そうな男の人の声がしたんだ。
「龍、遅かったじゃねぇか。電話ひとつもよこさねぇから心配したんだぜ?」
黒髪にところどころ白髪が混じった、肩幅が大きなお爺ちゃんが座敷に座っていた。
お爺ちゃんはどこか龍サンに似ている。
もしかして龍サンのお爺ちゃんかな……。
だって目のキリってしてるところ、龍サンとそっくりなんだモンッ!
ふたりの様子を窺っていると、お爺ちゃんの隣にある大きな茶色い器を発見した。
あ、ボク知ってる!
あれ、火鉢っていうんだよ。
昔、ボクが猫だった頃、いつもご飯をくれるお婆ちゃんがしわしわの手をそこに掲げて、温まっていたのを思い出した。
懐かしいな~。
お婆ちゃん、元気にしてるかな~。
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