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やって来ました龍サンのお家!~煙管(きせる)~

 ーー懐かしいなぁ~。  お爺ちゃんを見ていると、ほんのちょっぴりお婆ちゃんのことを思い出し、考えてしまう。  だけどお爺ちゃんはお婆ちゃんとは違うものを持っていた。  あれはなんだろう?  煙草ーーとは違うみたいだ。  細長い棒の先が丸くなっていて中に何かが入っている。  お爺ちゃんはその長い棒をお口に当てて、煙を吹き出していた。 「申し訳ありません、戻ろうと思ったのですが楯突く奴らの鎮圧に時間がかかってしまいました」  龍サンはお爺ちゃんと向かい合うようにして障子のところで座ったから、ボクもそのお隣で大人しく正座する。  それから龍サンはまた深くお辞儀をした。 「それだけか?」  龍サンのお返事を聞いたお爺ちゃんは、長い棒の丸い部分を下にして、火鉢に向かってタンタンッと軽快に叩いた。  火鉢の中に何かが落ちる。  そうしたら、お爺ちゃんは腕を組んで何かを考えているみたいに、大人しく座っているボクを見た。  なんだろう。  お爺ちゃんに見られていると、背筋がシャンってする。  心臓がドキドキするけど、でも龍サンみたいなドキドキじゃない。  でもね、怖いっていう感じはしないんだ。  このお爺ちゃんはとっても不思議。  ボクは慌てて龍サンと同じように頭を下げた。 「まあ、いい。それよりもそいつはお前の連れか?」 「ーーはい、三毛というそうです。家族を亡くしたらしく家で面倒をみたいと思い、連れてきました」 「……そうか、わかった。お前が使っていた離れの部屋は当初のままだ。好きに使え」 「はい」  それっきり、お爺ちゃんは何もしゃべらない。  龍サンがお辞儀して立ち上がる。  だからボクも慌ててお辞儀をすると、龍サンに続いて部屋を出た。 **やって来ました龍サンのお家!・完**

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