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嫉妬。~抑制できない~

 side・龍 「おかえりなさいやし」  相変わらずでかい屋敷だ。  契約している用心棒の仕事を無事に終え、因縁の若草組をようやく潰すことができた俺は祖父さんの屋敷に戻ってきた。  そんな俺を出迎えるのは皆、祖父さんに拾われた半端者だ。  俺はそんな奴らに挨拶も交わさず無言のまま素通りする。  歩く速度はこの屋敷に入った途端、早くなる。  その理由は、ある日を境に俺に付きまとって離れない大学生くらいの子。  三毛にある。  初めは付きまとってくる三毛が煩いと思っていた。  だが、どんなに突き放しても離れようとしないあいつは怒ることもなく、そればかりか笑顔を振りまいてくる始末だ。  どこにいたって無愛想。  怖がられ、ヤクザという家系に生まれた俺は喧嘩を売られるばかりだった。  その俺をーー三毛だけは違った。  いつも屈託のない笑みを向けてくる。  おかげでその笑顔をずっと見ていたいと思うようになり、気が付けばどっぷり三毛に嵌っている。  そうして彼と過ごすうち、俺の中に芽生えた感情は大きく膨らんでいく。  俺のものにしたい。  笑いかけるのはいつでも俺だけにしてほしい。  三毛への独占欲が増す。  それと相俟って、俺は三毛の身体さえも欲しがった。  三毛は純粋で人を疑うことがない。  そのままずっと純粋でいてほしい。  ーー誰にも染まらず、真っ白のままでいさせてやりたい。  そう思う反面、三毛を俺の色に染めてやりたいという欲望は、最近になって抑えきれなくなっていた。

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