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もしかして嫌われちゃった!?~覗き見は趣味?~
首をひねるっている間にも、お爺ちゃんは手元にある小さな木片をひょいと摘んでまた別のところに置いていく。
その時に、パチンって軽い音がした。
「お前さんは盗み見が趣味なのか?」
お爺ちゃんは、小さなテーブルを見ながらそう言った。
えっと?
「入りなさい。障子が開いていると気が散る」
「あわわ、ごめんなさい!!」
ボクは慌てて立ち上がり、お部屋の中にお邪魔した。
もちろん、きちんと障子は閉めたよ?
「ーーーー」
パチン。
パチン。
それっきり、お爺ちゃんは何も言わない。
静かなお部屋にはパチンっていう軽い音が聞こえる。
ボクはその音が面白くって、小さな小さなテーブルをずっと見つめていた。
テーブルの上にある木片はぜんぶ同じように見えるけど、でも実はちょっと違うみたい。
薄い木片ともうちょっと薄い木片。分厚い木片があった。
えっと、何か文字が書いてある。
『歩兵』『角行』『金将』ほかにもたくさんある。
「お前さん、龍とはどういう知り合いだ?」
しばらくの間、お爺ちゃんはボクの存在を忘れたように真剣に木片を触っていた。
だからボクもお邪魔しちゃいけないと思って、正座して静かにパチパチする音と木片を見ていると、お爺ちゃんが口を開いた。
「えっ? あの、ボク? 車にひかれそうになったところを龍サンに助けていただいたんです」
今までぜんぜん声をかけてくれないから、ずっとこのままなのかと思っていた。
突然声をかけられてびっくりしちゃった。
お爺ちゃんに慌てて話す。
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