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次の日~三毛のお掃除大作戦?~

 胸がギュって締めつけられてぎギシギシする。  すごく痛い。  うええっ。  涙だってあふれてくるよっ!  でも、ここで泣いたら、ますます龍サンに嫌われちゃう。  だからグッと我慢だ。  龍サンに嫌われたボク。  だけどーーだけどね?  もし、ここでみんなのお役に立てたら?  龍サン、少しはボクのこと、見直してくれるかな。 「ねぇ、お願い。ボクもお役に立ちたいの」  お役に立てたら、龍サンももしかしたらボクを嫌いになるのをやめるかもしれない。 「ですが……」  お兄サンはやっぱり困った顔をしている。  ねぇ、お願い。  ボク、龍サンに嫌われたくないんだ。 「お願いです!」  パチン。  顔の前で両手を合わせてお願いしたら、お兄さんは渋々っていう感じで頷いてくれた。 「……わかりやした。じゃあ、ここの廊下をお願いしやす」 「はい! ありがとうございます!」 「いえいえ、とんでもごぜぇやせん」  お礼を言えば、お兄さんはにっこり笑う。  ほっぺたの傷、痛くなさそうでよかった。  それにここの人たちはみんな優しそうな人ばかりだ。  ボクはお兄サンがやっていたように、水が張ってあるバケツに四角い布を浸し、ギュッと絞って廊下を拭いた。  なんだか綺麗になったカモッ!!  嬉しくてどんどん廊下を拭いているとーー。 「三毛、三毛」  突然、障子が開いて、その間から手がにょきって顔を出した。  そうかと思ったら、おいでおいでってされたんだ。  開いた障子は昨日、お邪魔した龍サンのお爺ちゃんの部屋。  遊んでくれるのかな。  昨日からのご用時が終わったのかな。  ボクは布とバケツを放り投げ、すぐにお爺ちゃんの部屋に行った。

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