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アイしてるのッ!~目覚めたら~

 side・三毛 「龍さぁん」  お布団の中、ボクは好きな人のぬくもりを求めて手を伸ばす。  だけどーー。  あれ?  どうして、そこにいるはずの好きな人のぬくもりがない。  何も……ない。 「龍、サン?」  ぱちっと目を開いたら、そこはほんの少し明るくなっている。  だけどまだお日さまはこんにちはしてない夜。  龍サンがいない。  ボクは龍サンを探すため、慌ててお布団から起き上がる。  なんだけどーー。 「ふあっ!」  どうして?  立ち上がれない。  腰が重たくて、すぐにお布団の中に引き戻されちゃった。  龍サンを探しに行きたいのに探しに行けない。  どうして?  どうしてこんなに腰が重たいの?  どうして龍サンがいないの?  もしかしてボク、捨てられた?  だってボク、龍サンに嫌われてる。 『好きだ』  そう言ってくれたのはただの夢だったのかもしれない。  抱き締めてくれたのも、ボクと交尾したのも全部、夢だったのかもしれない。 「っひ、うええっ」  龍サン、龍サン。  涙が止まらない。  泣いたら龍サンにもっともっと嫌われる。  だから泣いちゃダメって思うのに、涙、止まらないよ。 「うえええっ」  好きだったの。  ううん、今もすごく好き。  だけど龍サンは違う。  ボクが知らない世界をたくさん知っていて、ボクよりもずっとずっと大人でーーずっとずっとカッコイイ。  だからきっと、龍サンを好きな人はたくさんいて、龍サンはたくさんいる中の誰かを好きになっているかもしれなくてーー。  その中にはボクがいなくてーー。

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