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アイしてるのッ!~重い腰~

 龍サンはボクを好きにはなってくれない。  だってボクは今、ひとりでこの広いお部屋にいる。  これってきっと、そういうことだよね。 「りゅうさああああんっ」  龍サンを呼んでも来ないのはボク、知ってる。  起き上がれないから探しにも行けない。  悲しくて苦しくて、ボク、死んじゃいそうだ。  ずっとずっと泣き止めないままになっていたらーー。 「三毛? 何を泣いている?」  声がーーした。  ような気がする。  ボクが好きな人の声。 「りゅ、さ……」  龍サンかもしれない。  龍サンなのかな?  スンって鼻を鳴らして声がする人を見てもーーああ、ダメ。  涙がまだ止まらない。  前が見えないよっ!  龍サンかもしれないのに、涙止まらないの、なんで? 「うえええっ、前、見えない」  それに腰が重いから龍サンだと思うその人に抱きつくこともできない。 「腰重たいのおおおっ!!」  悲しくて苦しくて、また泣いてしまう。 「ああ、そうか立てないのか。少し前まで散々抱いたからな」  でも、あれ?  やっぱり龍サンの声がする。  柔らかい布で目を擦られて、ようやく見える目。  ほんのり明るいそのお部屋の中で、龍サンはやっぱり目の前にいた。  龍サンが笑ってる。  いっつもへの字になっているお口は今は違うの。  すっごくすっごく優しいお顔してる。 「龍さ、龍さ……」  嬉しくて、せっかく拭いてくれた目にはまた涙が溢れてくる。  龍サンが見えなくなるよっ! 「うえええっ、見えないぃぃ」  両手を伸ばして龍サンに抱きつけばーーポンポンって頭を撫でられた。

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