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第55話 初対面Ⅱ

「創 直ぐ戻って来るから ここで佐倉と待ってて⁇」 車から降りるゆうごに ついて行こうとしたらそう言われて、少し戸惑ったが 一応首を縦に動かした ドアが閉まって その姿を見送った後、車内は シーンと静まり返っている いつもなら 知らない男の人と二人になると、怖くて怖くて堪らないのに、佐倉さんは とても落ち着く感じがして、無言でも そこまで気まずい雰囲気は無かった 「佑吾様は お優しいでしょう⁇」 「…え⁇ あ…は はい‼︎」 急に話しかけられた事に 少しビックリしてしまい、声が大きくなってしまった そんな僕に 佐倉さんは ふふっと笑っている 「心配しなくても あの方が 大丈夫と言ったなら、きっと大丈夫ですよ」 優しい声色は 包み込み様に響いて とても安心出来た ゆうごとは違った意味で、胸の真ん中が温かくなる 「…はい」 自然とそう答えた時 丁度ゆうごが戻って来てくれた 「お待たせ 佐倉 昨日話した所まで頼む」 「かしこまりました」 車が走り出すと、ゆうごは僕の手を握って笑いかけてくれた 『大丈夫』 何も言われて無いのに、繋いだ温もりからそんなメッセージを受け取った気がして、悲しくないなんてないのに、涙が出そうになった

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