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第79話 会食

「創、今日の夜ご飯なんだけど 外に食べ行こ⁇」 そう言って連れ出されたのは、まだ夕方とも言えない時間で 広い建物の中に入ると 僕は何着も洋服を着させられていた 「うん それも似合うな」 ゆうごがそう言う度に 紙袋が増えていく もう僕にお金を使って欲しく無くて、それをゆうごに伝えたら 逆にゆうごは すごく悲しそうな顔をしていて、その顔を見たら どうしたら良いのか分からなかった 僕が困った顔をしたせいなのか、ゆうごは ぽんぽんと頭を撫でてくれた 「お金の事は 創は気にしなくて 本当に大丈夫だよ⁇ だから 喜んで貰えたら 俺は嬉しいんだけどな…」 「ゆうご…」 今 僕がゆうごに出来る事と言ったら 笑う事くらいしか無い だから今までの思いも全部込めて、僕はゆうごに笑顔を向けた 「ありがとう ゆうご…大好き」 僕がそう言うと ゆうごも笑ってくれて、また手を引かれながらエスカレーターに乗った その後も ニットやコート、その他様々な物を着たが 今着ているコレは 今までのとは種類が違っていた どちらかと言うと、いつもゆうごが着ているスーツに近い物で 僕の髪色と全く合っていない 「…うーん」 ゆうごも顎に手を当てて 何かを考えている どう見ても似合ってないもんね… どうしてこんな普段着ないような服も、今 僕に着せているんだろう…⁇ 「すみません グレーとか持って来てもらえませんか⁇」 「かしこまりました」 言われるがままに また服を着てカーテンを開けると、ゆうごと店員さんが 沢山褒めてくれて、恥ずかしくてしょうがなかった 「ストライプの物もご試着されますか⁇」 「いえ 今日は大丈夫です コレ 着て帰るので、タグ切ってもらえますか⁇」 「かしこまりました」 手慣れた感じで進めていく二人と、話が全く見えずに あわあわしている僕との差が凄い 靴も 履いて来たスニーカーではなく、ピカピカの革靴が用意されていて 戸惑いしかなかった 「あと この荷物も送って欲しいんですけど」 先程までゆうごが持っていた大量の紙袋は、僕がさっきまで着ていた服と一緒に お店の中に消えていった 「じゃあ、行こうか」 そう言って 店を出ると また違う建物の中に入って行く 入口がキラキラとしていて 凄く綺麗で、僕は ぽかんと口を開けてしまった 「実は今日 父さんと夕飯食べる約束してるんだ」 「え⁉︎」 案内された個室には 確かに三人分のお皿が置いてあって、突然の事にビックリしたのと 今の服装に納得したのとで、言いたい事が色々あるのに 上手く言葉にならない 「急にごめんな⁇ 先に言ったら、創 緊張しちゃうと思って…」 「…うん」 僕の事を考えてくれての事だと思うと それ以上は何も言えず、ゆうごの服の裾をギュッと掴んだ それと同時くらいに扉が開いて ビクつきながら 入口を見つめた 「お連れ様が お見えになりました」

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