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第81話 会食 Ⅲ〜side佑吾〜

「今度家にも顔を出しなさい 母さんや蓮にもきちんと紹介するように」 「はい 今日は ありがとうございました」 店の目の前のタクシーに乗り込もうとする父さんの後を追い、創には ちょっと待っててとだけ告げ、開いてるドアから もう一度挨拶をすると 小さく手招きされ 身を屈めた 「ところで…創君とは 何処で会ったんだ⁇」 「…えっと」 食事中 父さんは 創の過去の話には 一切触れて来なかった それを有難くも思っていたが 伝えない訳にもいかない そのまま言えば良いだけなのに どうしても口籠ってしまい、そんな俺を見て 父さんは短く息を吐いている 「あの好きモノ社長に、例の所にでも連れて行かれたか⁇」 「…はい」 「なるほどな…」 父さんは顎を撫でていたかと思うと フッと笑った 「悪かったな」 「え⁇」 「私がずっと断っていたから、お前が連れて行かれたんだろう」 「…いえ お陰で 創と出逢えたので」 「そうか 創君の昔の話は 聞いてるのか⁇」 当然の質問をされて 俺は首を横に振った 「いえ…そのうち本人から話してくれたらと思ってます」 「まぁ それで良いと思うが… あの子、実際は 良いところの子なんじゃないか⁇」 「え⁇」 「15才だというのに テーブルマナーがしっかりしていた そういう教育は 受けて来ているんじゃないかと思ってな」 確かに 言われてみれば、教えたわけでもないのに 創はきちんと 外側からフォークやナイフを使ったり、食べ方などもすごく綺麗だった 父さんに指摘されるまで 会話を繋げる事ばかりに必死だった俺は、全く気付かなかった 流石としか言いようが無くて、自分の不甲斐なさに思わず黙ってしまった すると 俺の肩をポンと軽く叩き、昔から変わらない笑みを向けてくれた 「自分で決めたんだろ 頑張りなさい」 「はい‼︎」 ドアが閉まると 父さんは小さく手を挙げ 走り去って行った 「…ふぅ」 無事終わった事にホッとして 大きく息を吐いた 後ろを振り返ると 創が不安そうな面持ちで立っていて、俺は笑顔で 創を迎えに行った 「お待たせ 俺達も帰ろ」

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