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第92話 姦計
「クソ‼︎」
佑吾のマンションの目の前の喫茶店で、男は 貧乏揺すりを繰り返していた
佑吾の会社を突き止め 後ををつけた結果、マンションの場所を知る事は出来たが 空高く聳え立つ高層マンションの、どの部屋が自宅なのかまでは 当然知る術がなかった
しかし 中々諦めがつかず 何度か足を運んでは、こうして地団駄を踏んでいるのだ
「ん⁇」
いつもの車から降りて来た佑吾が 入口で誰かと話し込んでいる
手に持っていた双眼鏡で その顔を何度も確認した
「…へぇ」
男は怪しげな笑みを浮かべると 伝票を手に取り、レジのベルを 囂しく鳴らし続けたのだった
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