94 / 234

第94話 陥穽 Ⅱ

「大丈夫でしょうか⁇」 BARのマスターは、物井の事を 心配そうに覗き込んでいる 対して 隣の男は ヘラヘラと笑っていた 「大丈夫 大丈夫 コイツ酒弱いんすよ〜」 「いや でも普段は…」 「疲れてんでしょ 何でも先生ってやつは 大変っすよね〜」 その時 他の客にマスターが呼ばれ、目の前から居なくなると テーブルに置かれていた物井の携帯に手を伸ばした 寝ている物井の人差し指を使って ロックを解除すると、トーク履歴を開いている 少しスクロールしただけで 目当ての名前を発見し、ニヤニヤと笑っている その中には 佑吾から送られた住所があり、部屋番号も しっかりと書いてあった 「さ 迎えに行くからね そ〜くん♡」

ともだちにシェアしよう!