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第102話 搜索 Ⅳ〜side物井〜
「…これは…どういう事だ⁇」
隣の桃が 驚嘆の声を上げている
それもそのはず、桃が家を出てから俺が来るまでの間、創君の姿は エントランスの何処にも見受けられなかった
先程警察の人も複数到着している
あの髪色を これだけの人数の大人が見逃すとも考え難い
「桃坂さん…指紋も調べましたが 新しいものは やはり三名分だけですね…ただ…」
「ただ⁇」
桃は縋る様な眼差しで 刑事さんを見上げている
するとその人は 一枚の写真を桃に渡した
「桃坂さんが出て直ぐですかね
宅配業者が訪ねて来ているようです」
「宅配⁇」
桃が受け取った写真を横から盗み見た俺は、アイツの親が運営しているその制服に 心の中で嫌悪の言葉を呟いていた
その写真は どうやら桃の家のインターホン内に録画されていた画像のようだが、肝心の男の顔が 帽子とマスクのせいで全く分からなかった
「…最近は 特に何も買っていないのですが」
「怪しいですね
この業者 調べましょう」
「お願いします‼︎」
刑事さん達は 創君がこの業者に誘拐されたと見て捜査を進める方針を固めたようだが、俺的には一つ引っかかっている事がある
もしこの業者が犯人なら 何故今の今まで 桃に何の連絡も無いのか
この業者が映ってる時刻から、もう5時間以上が経過している
身代金目的なら いい加減何かしらの要求をして来ても良い筈だ
「…なぁ 創君とは どこで知り合ったんだ⁇」
ただの金が欲しい馬鹿の犯行なら俺に出来る事は殆ど無いが、もし違うのであれば これを聞いておかないと 連れ去られる理由を 一緒に考える事が出来ないと思った
俺の問い掛けに 桃は一瞬戸惑いの表情を見せたが、小さな声で話し始めてくれた
「…実は」
桃の話を聞いて 驚きを隠せなかった
そんな所があるなんて βの俺には 想像もつかない
言い淀んでいたのも 納得が出来る
「…その契約する時に、創君手放したくなさそうとか無かったのか⁇
もしかしたら その施設の人とか」
「いや 契約はしっかりしてたし、また来てくれみたいな事も言ってたから 多分無いと思う…」
「そっか… 他に思い当たる奴いないのか⁇」
「…他」
俺がそう問い掛けると 桃がハッとした様な顔をした為、何か心当たりがあるのかと思い 一歩詰め寄った
しかし直ぐに「…いや でも…家が分かるわけ…」と ブツブツと独り言を繰り返している
「誰か いるのか⁇ 取り敢えず話してみろよ」
この問い掛けの数分後 俺は桃に謝り倒す事になる
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