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第103話 搜索 Ⅴ〜side物井〜
『俺にも そ〜くん貸してよ』
アイツ…かなり創に執着してる様に見えた
というより 俺が連れ去ったのが、気に食わないっていう感じだった
「誰か いるのか⁇」
物井の声にハッとなり隣を見ると 心配そうな面持ちで 俺を見つめてくれていて、俺は頭に思い浮かんだ人物の事を 物井に話した
「創をうちに迎えた日…
帰る時に 絡んできた奴がいて…
すごい嫌な感じの奴だった…
ずっと 創が発情期の時は 自分が買ってたとか言ってて…」
「怪しいな どんな奴⁇」
「名前とかは分からない 向こうも知らないと思うし…」
「そいつの見た目的な特徴は⁇」
「…根本が黒い金髪に 三白眼な目
なんか…笑い方が すごく嫌な感じがした」
「…え⁇」
物井の顔が強張ったのを見て「どうした⁇」と声をかけた
考えを巡らせる様に視線を泳がせたかと思うと、物井の顔色が 見る見るうちに青ざめていった
「…もしかしたら そいつ…俺の高校の時の同級生かもしれない」
「は⁉︎」
どういう事なのか理解が追い付かなくて、俺は 物井の肩を掴んだ
「家に帰れば卒アルがあるから、顔見てくれないか…⁇」
「…分かった」
警察の方には 少しだけ席を外すと伝え、マンションを出て タクシーに乗り込んだ
物井は自宅の住所を運転手告げた後、顔を腕で覆い悲痛な声を上げた
「…ていうか ゴメン‼︎
もしアイツだとしたら、創君が誘拐されたの 俺のせいかも‼︎」
「ど どういう意味だ⁇」
物井のせい⁇
何がどうして そうなるのか、俺の頭の中は 疑問符だらけだった
「…この前 仕事の後、行き着けの店に 一人で行ったんだけど そこにアイツが来て…」
言いながら物井の顔は 益々青ざめていく
聞きたい事は山ほどあるが、あまり責め立てる様な事はしたくなくて 先の言葉を 黙って待った
「おかしいと思ったんだ…
仲が良かったわけでもないのに 隣に座ってきたり、大した量も飲んでないのに 眠くなったり…
しかも 起きたら会計まで払ってあって…」
「…それで⁇」
「…多分 俺の携帯から 桃の住所見たんだと思う」
俺は絶句しながら 目を見開いた
家庭教師を引き受けてくれた物井に、当然ながら 家の住所を送っていた
まさかという気持ちが強かったが それなら全て納得が出来た
「…ごめん…桃…俺…」
「もしそうだとしても 物井は悪くないだろ
とにかく 顔確認したい そいつの家知ってるのか⁇」
「俺は分からない
知ってそうな友達に電話しても良いか⁇」
「頼む」
物井が電話をかけている横で もし創が アイツに拐われたのなら、どんな目に合っているのか
それを考えると 腸が煮えくり返る思いだった
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