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第9話 昏迷Ⅴ〜side佑吾〜

「どうした⁇ こっちおいで⁇」 立ち尽くしている彼に 何の気なしにそう告げた とことこ歩いて来て 隣に座るのかと思いきや、俺の足の間に座って かなり驚いた いや 本当に驚いたのはこの後だ 「…し 失礼します」 そう言って 俺のズボンに手を伸ばしてきて、かなり焦った俺は 咄嗟に細い手首を掴んでいた 「いやいやいや‼︎ 何してんの‼︎ こ こういう事はいいから‼︎」 「…え⁇」 彼の方も 困惑の色を浮かべている 俺はといえば 無駄に呼吸が荒くなってしまい、自分を落ち着ける為に 何度か深呼吸を繰り返した 「…俺、こういうつもりで 君の事買ったんじゃないから…」 「…え⁇…え⁇」 そりゃ 驚くよな… じゃあ何でって思うだろうし… 「…その…君を…間近で見たかったっていうか…話してみたかった…っていうか…」 「………」 彼は 俺が何を言っているのか、理解出来ないと言った顔をしている その様子が何だか居た堪れなくて 俺は彼を抱き上げると、自分の膝の上に乗せた 彼は 15才の男の子とは思えない程軽くて、羽でも付いているのかと疑ったくらいだ 「え⁉︎ あの⁉︎」 俺は 戸惑う彼の両頬に手を添えると、今日一番の距離で 彼の顔を拝んだ 明るい所で見る彼は、神々しいという言葉が ピッタリだった 真っ白な肌は 若干ピンクがかっている様にも見える 青い瞳は澄んだ海の様で、それを金色の睫毛が縁取っていて、とても 「…綺麗だ」 無意識にそんな言葉が出てしまう程 見惚れていた 彼は目を丸くして驚いていて、恥ずかしいのか 頬が赤く染まり出している 小さな唇に親指で触れると、堪えきれなくなったのか 俺の手に逆らって俯いてしまった 「…あ…あの…ご主人様…」 「ご⁉︎」 普段呼ばれる事の無い名称に 思わず吹き出してしまった 俺の反応に 彼が怯えた様に見えた為、細くて美しい髪に また手を伸ばした

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