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第11話 深慮
目を覚ますと 隣で創が すやすやと眠っていて、何だか少しだけホッとした
軽く額に口付けると 起こさない様にそっとベッドから降り、仕事に行くための身支度を整え始めた
朝食を用意していると、ベッドから身体を起こした創と目が合った
「おはよう よく眠れたか⁇」
「…はい…おはようございます」
目を擦る仕草が 何とも愛らしい
紫外線に弱いと聞いたので、遮光カーテンは ピッタリと閉じているが、それで大丈夫だろうか
「飯 ここに置いておくな
冷蔵庫の物も 適当に食べたり飲んだりして良いから」
「…え…あ」
俺はテレビのリモコンを手に取ると それを創に渡した
「うち 何も無くて退屈だと思うけど、ゆっくりしてて良いからな
なるべく早く帰ってくるから」
「…は はい」
俺が創の頭を撫でるのとほぼ同時に、上着に入れていた携帯が鳴った
「あ 着いたか⁇ 今行く」
直ぐに通話を終了させて下を見ると、不安そうな顔をしている創と目が合い、俺は自分の名刺を取り出すと それを創に渡した
「何かあったら 家の電話からここに連絡して⁇
使い方 分かるか⁇」
創は 名刺を見つめながら 小さく頷いた
「ん じゃあ行って来る」
「………」
無言な事は 少し気になったが、この時俺は 今自分に出来る事は 全て行ったと思っていて、創の抱える心の傷に 全く気付いてあげられなかったんだ
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