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第13話 深慮 Ⅲ
「珍しいですね
佑吾様が そんなにお買い物をされるなんて」
「ああ ちょっとな…」
今 話しかけてきたのは 社長室長の 佐倉 真也 28才 β
入社当初から どんな仕事もこなしてしまう彼は、父の大のお気に入りとなり 俺の右腕になってほしいと、俺が入社するまでの間に 様々なスキルを身に付け、俺の運転手までこなしてくれている
黒髪短髪の爽やかな容姿で 人当たりも良く
シルバーフレームの眼鏡も、知的さを更に増していて とても良く似合っている
「差し出がましいようですが 佑吾様
そちらの袋は 確か女性の…」
「安心しろ 俺が着るわけじゃない
ついでに言うと 恋人が出来たわけでもない」
「そうですか それを聞いて 少し安心致しました」
それ以降 佐倉からの質問は無く、家路へと車を走らせてくれている
俺の言う事に 基本的には 何でも賛同してくれる佐倉は、俺が人を金で買ったと知ったらどんな顔をするのだろうか
流石にまだ その話をする勇気は出ず 何かを誤魔化す様に、外の流れていく景色を 見つめていた
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