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第14話 深慮 Ⅳ

「ん⁇」 玄関を開けると 中は真っ暗で、俺は慌てて靴を脱ぐと 廊下を小走りで掛けて リビングのドアを開けた 「創⁉︎」 名前を呼びながら電気を点けると、カウンター下に体育座りで蹲っている創が居た 一瞬ビックリしたが 体調でも悪いのかと心配になり、手に持っていた荷物を放り投げると小さな体に歩み寄った 「どうした⁉︎ 具合悪いのか⁉︎」 俺の問い掛けに 創は大きく首を左右に動かしている 「…ご…ごめんなさい…」 創は小刻みに震えていて 俺は痩せている背中をさすった 「何が⁇」 「…ご…ごはん…」 言われて 顔を上げると、そこには 今朝俺が作った物が 手付かずで置いてあった とりあえず体調不良とかではなさそうな様子に、ホッと胸を撫で下ろす 「いいよ 嫌いな物入ってたか⁇ 今から違うの作るよ」 俺がそう言って頭を撫でると また一段と大きく頭を振った 「…違う…違う…違う…」 創は パニックになっている様に見えて、俺は華奢な身体を 自分の方に引き寄せた 「何が違うの⁇ 大丈夫だから 創の事教えて⁇」 俺がそう問いかけると 恐る恐るといった様子で、創はゆっくりと顔を上げた その青い瞳は潤んでいて 海の様に綺麗だった 「ぼ 僕…」 「うん」 「…ご…ご飯に…薬…入れられる事…多くて… 変なの…かけられたりとか…」 「…薬⁇」 何だよそれ… ていうか 何の為に…⁇ 「…ひ 発情期と…同じに…なるやつ…」 媚薬⁉︎ 「…っ‼︎」 言葉が出て来なかった こんな子に 何て事をするんだと思ったが、皆それが目的で買っているんだと 改めて思い知った 「…変なのっていうのは⁇」 「…あ」 俺がそれを訊くと 創は もじもじしながら、自分の下半身辺りの服を ギュッと握った 「…ここから…出るやつ…」 「………」 顔を真っ赤にしながら 言いたくないであろう事を、俺に話してくれている心境を考えると とても居た堪れない 込み上げてくるものを上手く言い表せなかった俺は、もう一度創を 強く抱きしめた

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