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第20話 外出

朝食が済むと 自分にコーヒーを淹れ、創の前には ココアを置いた あのパーカーを被りながら、両手でマグカップを持つ仕草の 何とも可愛らしいこと つけぱっなしのテレビを見ていると、某テーマパークの特集が始まって、ハロウィンシーズンのこの時期を 大々的に放送している 「…わぁ」 恐らく無意識であろう言葉が 創の口から漏れ聴こえ、そっと顔を覗き込むと キラキラした目で画面を見ていて、その表情に 俺の方までつられて笑ってしまった 「ここ行こっか⁇」 「え⁇」 ぴょこんという効果音が似合いそうな創の振り向き方は、思わす頭を撫でてしまう 「割と近いし、一応 日焼け止めとか、UVカット加工のカーディガンとか 色々買って来たんだ」 俺は コーヒーをテーブルに置くと、昨日購入してきた紙袋の残りの中身を 創に見せた 「…い 良いの⁇」 もじもじと手を合わせながら、上目遣いで尋ねてくる様は 堪らないものがある 「勿論 じゃ 準備しよっか」 準備と言っても お互い男なので大した時間もかからず、俺は自分の身支度を整えた後、昨日買ってきた服をビニール袋から取り出し 創に着せた 「ん サイズピッタリだな」 白のインナーは 親指の部分に穴が空いているもので、手の甲まで すっぽりと覆い隠せている その上から ブルーのカーディガンを着せた どちらもUVカットが出来るとの事で、俺自身は気にした事も無かったが、最近は 随分と便利な物があるんだな と驚かされた 下は ベージュの細身のワークパンツを履かせ、首には 黒のストールを巻いた これで 首輪もそこまで気にならいないだろう 仕上げに黒のキャップと 黒縁の眼鏡を渡した 昼食を食べながら紫外線について調べていた時 目から入るものが 一番良くないと知ったので、度の入っていないそれ専用の物も 一緒に購入したのだ 「よし じゃあ 行くか」 玄関に黒いスニーカーを持って それを履くように促すと、創は 申し訳無さそうに眉毛を下げている どうしたのかと首を傾げていると、ギュッと俺のジャケットの裾を掴んだ 「…こんなに…ごめんなさい」 その言葉に 俺は何度か瞬きを繰り返したが、直ぐに フッと笑いが込み上げてきた 「全然 この位大した事ないよ ほら 行くぞ⁇」 俺が靴を履いて 手を差し出すと、創は 少し戸惑いがちに 俺の指を握った そのままの状態でエレベーターに乗りながら、帰って来るまでに 普通に繋げてると良いな なんて そんな事を考えていた

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