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第31話 感冒 Ⅳ
暫くすると 創はまた眠りにつき、俺はその寝顔を ジッと見つめていた
「…可愛い」
そんな言葉が無意識に出た瞬間、ポケットの中の携帯が震えて ビクッと肩が跳ねた
ディスプレイには 佐倉からの着信が表示されていて、俺は携帯を耳に当てた
「佐倉⁇ うん ありがとう 直ぐ行く」
通話を終了させると 創の髪に触れ、寝てるのを確認すると 同じ場所に唇を寄せた
それだけで直ぐ行くつもりだったのに、この数時間の葛藤の所為なのか、気付いたら華奢な身体を 抱き締めてしまっていた
「…ん」
力が入った事で 創が若干身動ぎをした
ハッとなり距離を取ると、創の瞼が閉じられたままな事に ホッと胸を撫で下ろし、慌てて部屋を出た
エレベーターに乗りながら、俺は今日 いつも通り眠れるのか 不安しかなかった
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