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第33話 感冒 Ⅵ

「おやすみなさい…」 「ん… おやすみ」 今日はバタバタと色々な事があって疲れている筈なのに、目を閉じても 全く眠れる気がしない 当然だけど 昨日までそうしてたんだから、創は俺に ピッタリとくっついて寝ている訳で… しかし俺は 今朝までの様に抱き締める事が出来ず、小さく溜息を漏らしてしまった その直ぐ後 創はくるりと背中を俺に向けると、ベッドの端の方に行ってしまい 俺は慌ててその腕を掴んだ 「創⁇」 「…あ…ゆうごに…風邪が移ったら 駄目だから…」 …あー もう‼︎ 俺の馬鹿‼︎ 心の中で自分自身を罵ると 俺は創の身体を引き寄せた 「…大丈夫だよ 落ちちゃうから コッチおいで⁇」 俺がそう告げると こちらを振り返り、ジッと俺の事を見つめている 揺れる瞳に 吸い込まれてしまいそうな気がした 「…創」 …キスしたい 「…ゆうご」 キスしたい キスしたい キスしたい キスしたい 行動に移してしまう前に 創の顔を自分の胸に押し付け、軽くヤケクソ気味に叫んだ 「おやすみ‼︎」 「…おやすみなさい」 結局俺は この夜 夢を見る事無く 朝を迎える事になった

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