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第36話 大童

「ん⁇」 家に着くと 焦げ臭さに 眉を寄せた 「創⁉︎」 急いで部屋に入ると、創がビクリと肩を震わせ 涙に滲む顔を俺に向けていたが、取り敢えず火事じゃなかった事に ホッと胸を撫で下ろした 「ご ごめんなさい…」 創が謝っている原因は 恐らくこのキッチンだろう 粉やら卵やらが散乱していて お世辞にも綺麗とは言い難い でも 「何作ってくれたんだ⁇」 俺がそう問い掛けると 創はモジモジしながら、テーブルの上を指差した 少し焦げてはいるが ハンバーグが皿の上に置かれていて、俺はフォークを取り出すと 一切れ口に運んだ 作った本人は 俺の顔を不安そうに見つめている ゴクッと飲み込むと 創の方を見て ニッと笑顔を作った 「美味い‼︎ ありがとな 今日食べる時間無かったし、帰って直ぐ食べれるなんて 嬉しいよ」 俺が頭を撫でると 創はやっと笑ってくれて、その笑顔に 今日一日の疲れが取れていくのを感じた

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