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第120話 心傷

家に着き 靴を脱ぐと、そのまま佑吾に抱き上げられた 腕の中は心地良くて されるがままになっていると、寝室のベッドに優しく下ろしてくれた 髪を梳く様に撫でられて、それがまた気持ち良い ゆっくり手を伸ばせばちゃんと絡めてくれて、その仕草に自然と笑顔になれた 「創…念の為に傷とか…色々…お医者さんに診てもらった方が良いかなって思ってるんだけど…」 佑吾は 僕の頬の傷に近い部分に触れながら、眉を下げてそう言った その表情からは 心配と不安が感じ取れる 「…あ…えっと…」 本音を言えば 今は人に会いたくないし、触られなくも無い でも佑吾の不安な気持ちは 直ぐにでも取り去ってしまいたかった 「…うん…僕も…その方が安心…かな…」 僕がそう言えば 佑吾から安堵の息が漏れ聞こえた 「そしたら、この前の先生が 必要に応じて往診してくれるって言ってたから連絡してくる  創は ここでちょっと待ってて⁇」 「…うん…ありがとう」 佑吾は僕の髪に軽くキスをした後、部屋を出て行ってしまった 佑吾のいないベッドの上は 何とも言えない寂しさがあって、僕は無意識に体育座りをして小さく縮こまってしまっていた

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