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第121話 心傷Ⅱ〜side佑吾〜

主治医に連絡した後、ココアを作り 創の元へと戻った 今日の診察は全て終了していた為、直ぐに来てくれるとの事だ 「創 ココア作ったんだけど、もし良かったら…」 ガチャリと寝室のドアを開けると、身体を小さく丸めていた創が ビクリと震えながら顔を上げた 潤いを帯びていた青い瞳は 俺に憂虞の念を抱かせ、手に持っていたマグカップを危うく落とす所だった 「…佑吾」 俺の名を呟くのと同時に 小さく息を吐き出した創 その安堵の表情に 俺の方も胸を撫で下ろし、ゆっくりとベッドの淵に腰掛けた 真ん中寄りに座っていた創だったが シーツの上を滑る様にして俺の横に来きてくれたので、スッとマグカップを差し出すと 嬉しそうに口を付けた 「美味しい…ありがとう」 「ん…良かった」 腰に手を回して引き寄せ そのまま太腿に乗せると、照れ臭そうにコクコクと小さく喉を鳴らしている その微笑ましい姿に 既に俺は安心し始めていた 創を家に連れ戻し 自分の手の中に抱いている これからまた平穏な日々を築いていけると そんな事を無意識に思っていた正にその時だった     ピンポーン チャイムが鳴るのと同時に 創の身体はビクンと大きく跳ね、マグカップが床に落ちて割れた 茶色いシミがシーツにも ジワジワと広がっていく 一瞬そちらに目を取られてしまったが 直ぐに創の方に向き直った 「…ひ…あ…」 「…創⁇」 震える身体を抱き寄せ その顔を覗き込むと、創は焦点の合わない目で口を小さく動かしていた 「…う…や…やめてーーーー!!  来ないで!!来ないでーーーー!!」 頭を激しく振り 俺の胸を強く叩いている 余りの勢いに腕を離すと 身を屈めて髪をクシャクシャに握り締めていて、その姿を目の当たりにした俺は 先程までの自分自身に慙愧に堪えない思いだった

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