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第39話 本音

「創‼︎ 創‼︎」 「…ゆうご」 ああ…良かった… ちゃんと僕の事 求めてくれてる…良かった… 「…創…キスしても良い…⁇」 「…うん」 間近にあったゆうごの顔が ゆっくり僕に重なる 最初はチュッて触れるだけだったのに、何回か繰り返すうちに ゆうごの舌が 口の中に入ってきた 「…ん…ふ…」 知らなかった キスって こんなに気持ち良いんだ… いつもは気持ち悪くて 吐き気ばっかりなのに、今日は 溶けて無くなりそうな位 気持ち良かった 「…創」 ゆうごの手が脇腹を掠めて少し擽ったい でも もっと触って欲しい 「ゆうご…」 目を閉じて ゆうごの手や唇の感触を堪能しながら、今度からお客様の相手をする時は、ゆうごの事を思い浮かべようと思った そしたら、きっといつもより マシに感じられる様な気がする 「…創…可愛い…」 頬を撫でられて 薄っすら目を開けると、いつもと違う 切なそうな表情のゆうごがいて、胸が ギュッと苦しくなった 「…ゆ……ご…」 どうしよう…嫌だ… 「…う…っ…ふ…うぅ…」 目を開けた時にいるのが ゆうごじゃないなんて… そんなの嫌だ… 「…創⁇」 ダメだと思うのに どうしても涙が止まらなくて、そんな僕を心配したゆうごが 服の中から手を引っ込めた 「…ごめん…こういう事しなくて良いって言ったのに…」 「ちが‼︎ 違うの‼︎ ゆうご‼︎ やめないで‼︎」 「でも…」 「やだ‼︎ お願い‼︎ 最後まで…したい…」 泣き噦る僕の目元を ゆうごは優しく拭ってくれた 「…嫌じゃないなら どうして泣いてるの⁇」 「…そ…れは…」 「うん…」 言えない こんな僕の気持ちなんて… 迷惑以外の何物でもない… 「…創」 呼ばれて顔を上げると、ゆうごはいつもの様に 微笑んでくれていた 「俺には 何でも言って欲しい…  創が今思ってる事とか考えてる事…教えて⁇」 「…で…も…」 自分の気持ちを言葉にするのはすごく難しくて、僕は下唇を噛んだ 「…創」 ゆうごの優しい手が 僕の頭を撫でる 明日この手と離れるのかと思ったら、また涙が出てきてしまった 「…う…っ……ぼ……ぼく…」 「…うん」 僕がゆうごの手を強く握ると ゆうごも握り返してくれて、それだけで 胸がいっぱいだった 「……も…………戻りたくない…」 「…え⁇」 「…ず…ずっと……ゆうごと…い…… 一緒にいたい…」 言ってしまった きっともう ゆうごに会ってもらえない こんな… 迷惑ばっかり 困らせてばっかりの僕なんて… 「ん…じゃあ ずっとココに居てくれる⁇」 「…………え⁇」 望んでいた筈の言葉なのに 上手く脳内処理が出来ない 瞬きを何度も繰り返す僕は きっと変な顔をしていると思う 「俺と 番になって欲しい…」

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