「ごめんな 創…仕事休めなくて… 　誰が来ても絶対に出なくて良いから、ゆっくりしてるんだよ⁇」 「…うん」 昨夜 ずっと抱きしめていてくれた佑吾は、今はスーツに身を包み 優しく僕の頭を撫でてくれた 僕の方はというと、未だにパジャマのまま ベッドに横たわっている 腰だけじゃなく 縛られていた手足が地味に痛くて、無理して起きなくていいと言ってくれた佑吾の言葉に甘えているのだ 「仕事の合間に 電話するからな⁇」 「…うん」 そう言って佑吾が出て行った後 静まり返った部屋に心細くなり、佑吾がさっきまで着ていた部屋着を抱きしめた ふわりと香る匂いに 心が和んでいくのを感じる どれ位そうしていたのか、電話のコール音に顔を上げ、枕元に置いてくれてあった受話器を取ると大好きな声が聞こえた 『創 大丈夫⁇ 変わりない⁇』 「うん 大丈夫だよ」 佑吾の声… 落ち着く… 自然と顔が綻んでいくのが分かる 『少しで良いから ご飯食べれそう⁇』 「…うん 頑張る」 本当は 食欲なんて全くなかった でも 折角佑吾が作ってくれたし、僕が食べる事で喜んでくれるなら無理をしてでも詰め込みたい 『無理しなくて良いから 食べれそうだったら食べて⁇』 「うん…ありがとう」 『ん…じゃあ、また後でかけるから』 「うん」 この日 佑吾は本当に何回も電話をしてくれて、その度に泣きそうになる位嬉しかった 声を聞く度に少しずつご飯を食べて、佑吾が帰って来る頃には 全部食べきる事が出来た 空のお皿を見た佑吾は嬉しそうに笑っていて、そんな佑吾を見ながら僕は、自分に出来る事をまた頑張りたい そう思った