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第130話 散髪

「部屋見に行く前に 寄りたい所があるんだ」 そう言った佑吾に連れて行かれたのは美容室だった 鏡の前に僕が座ると、オシャレな男の人と佑吾が僕の髪を触りながら話している 何だか落ち着かなくて、僕は二人の話を俯きながら聞いていた 「この部分が切れてしまったので、合わせて整えて欲しいんです」 「かしこまりました  それにしても綺麗な髪ですね  刈り上げたりとかはしないで、今の感じを生かす方向が良いですよね⁇」 「はい お願いします」 そう言い終えると佑吾は直ぐ側の椅子に座った 鏡越しに目が合って 笑いかけられたりなんかしたら、少し恥ずかしくてまた俯いてしまう 「じゃあ、シャンプーから入りますね」 椅子をくるりと回され、咄嗟に佑吾の方を見るとひらひらと手を振っていて 少しだけ不安な気持ちになった でも戻って来ると ちゃんとそこに居て微笑んでくれて、僕も無意識に笑っていた

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