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第137話 新居Ⅱ
「…疲れた」
そう一言吐き出してから 家の鍵を開けた
日付けが変わってしまった為そっとドアを開け、音がしない様にゆっくりと閉めた
靴を脱ぎ 創の部屋の前で足を止め、ドアノブに手をかけて開けるのを止めた
「…寝てるよな」
何とか思いとどまり自分の部屋に入ると、部屋の隅の間接照明が点いているのが直ぐ目に入った
朝点いてなかったよな…⁇と自問自答した時、布団が盛り上がっている事に気がついてそっと近付いた
ベッドの中では 創が俺のスエットを抱き締めながら寝ていて、その姿に思わず出そうになった声を寸前の所で飲み込んだ
「…ん……ゆ…ご…」
そんな寝言を言いながら笑顔で俺のスエットに頬ずりする姿はとんでもない破壊力があって、疲れも吹き飛んでいく
俺はゆっくりその場から離れると 急いでシャワーを浴び、寝る体勢を整えてから創の隣に潜り込んだ
「…んう⁇」
薄っすら目を開く創
寝かせてあげなきゃと思うのに我慢出来ず、髪や頬に何度もキスを繰り返した
「…ゆ……ご…⁇」
「ん ただいま」
「…お帰りなさい」
微笑みながら すりすりと俺に顔を寄せてくる創を無意識の内に抱き締めていた
「待っててくれたの⁇」
「あ…ごめんなさい
最初は自分の部屋で寝てたんだけど…」
「謝んなくて良いよ めちゃくちゃ嬉しい
俺も創の部屋行こうか悩んでたし、布団温かくて気持ち良いよ」
「本当⁇」
創のホッとした様な笑顔に こっちまで和んでいく
創が持っていた俺のスエットを取り去ると、創の方にコテッと頭を預けた
「佑吾⁇」
「ゴメン…なんか今日疲れちゃって…少しだけこうしてても良い⁇」
創の胸に顔を埋めると 小さな手が俺の後頭部に触れた
「いつもお疲れ様」
「…ありがと」
気持ち良い
人に頭を撫でられるなんて いつ振りだろう
母親以外にそうしてもらった記憶もない
「おやすみ 佑吾…」
「…ん」
ちゃんと返事がしたいのに強烈な眠気に襲われ それは叶わず、一言発した後 俺は直ぐに 意識を手放していた
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