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第145話 面影

「あけましておめでとうございます」 「お、おめでとうございます」 1月1日 僕は今、佑吾のご実家にお邪魔していた 車に乗って15分位で着いたその家は、とても立派な門構えで 入る前からかなり萎縮してしまい、門から玄関までも長くて 綺麗に整えられた庭にも圧倒されてしまった そして当然ながら 家自体の大きいこと… 改めて僕は、凄い人と一緒に居るんだなと思い知った 「ああ、おめでとう よく来たね」 佑吾のお父さんが出迎えてくれて深々と頭を下げた時、ゆっくりと階段を下りる音が聞こえてきて そろりと顔を上げた 「兄さん 来てたんだ」 「ああ、丁度今な」 そう言って目の前に来た人に 僕は思わず見惚れてしまった 佑吾を兄さんと呼んだその人は 佑吾を少しだけ幼くした様な顔だちで、昔の佑吾ってこういう感じだったのかな…なんて、そんな事を考えてしまっていた 「創、弟の蓮」 聞き覚えのある名前に ハッとなった 以前話に出ていた蓮さんが 佑吾の弟さんだと知って慌てふためくのと同時に、心の底から安堵していた 「初めまして」 佑吾と違って表情があまり変わらない蓮さんは、僕に向かってスッと手を差し出してくれて慌ててその手を握った 「は、初めまして 鞍月 創です」 どちらともなく手を離すと、蓮さんは佑吾の方をチラリと見た 「兄さん 今日何で来たの⁇」 「ん⁇ タクシーだけど、何でだ⁇」 「別に…正月早々 佐倉の事、こき使ったのかなって思っただけ」 「流石にしないから!!」 「…ならいいけど」 それだけ言い残すと、蓮さんはスタスタと歩いて近くの扉の中に入って行ってしまった 「ごめんな、無表情だけど悪い奴じゃないから…  昔はもっと可愛げあったんだけど、気付いたらあんなポーカーフェイスになっちゃって…」 「え⁇ ううん」 僕達のやり取りを聞いていた佑吾のお父さんはフッと綺麗に笑った 「佑吾、先に創君と母さんに挨拶してきなさい」 「はい」 佑吾は僕の背中に手を当てて、先程蓮さんが入った扉とは反対側の部屋に連れて行ってくれた

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