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第148話 面影 Ⅳ

コンクールに向けて練習をしていた時 先生がこの曲に歌詞がある事を教えてくれた 正直その時は 綺麗な歌詞だな位にしか思ってなくて 理解なんて全くしていなかったけど、今なら分かるよ ♫♪♩♫♪ 弾き終わり顔を上げると 皆目を丸くして僕を見ていて、やっぱりこんな大切なピアノに僕なんかが触っちゃいけなかったんじゃないかとか、下手くそだったのかとか 選曲がまずかったのかとか 色々な思いに駆られて、すごく不安な気持ちになった 「…あ…あの」 僕の一言でハッとなった様子の佑吾と佑吾のお父さんは、直ぐに笑顔で大きな拍手をしてくれた 「凄いな 創」 褒めてもらえた事にホッと胸を撫で下ろしたその直後だった 一番奥に座っていた蓮さんの右目から、涙が一筋零れ落ちるのが見えた 不謹慎かもしれないけど その泣き顔はとても綺麗で、腕でゴシゴシと擦るその瞬間まで 僕はその表情に魅入ってしまっていた

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