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第157話 約束 Ⅴ〜side佑吾〜

「凄いな!!」 ダイニングテーブルに用意されていた食事に感嘆の声を上げた 俺の反応に 創は照れ臭そうに笑っていて、その笑顔に 昼間の行為が更に後ろめたく感じた 「創 どんどん料理の腕上がっていくな」 「ありがとう でも 全部見ながら作った物だから」 「でも凄いよ ありがとう  花まで買って来てくれたのか⁇」 「うん 綺麗だったから…」 そう言って笑う創の方が綺麗だと思った それこそ可憐な花でも咲きそうな程だ 頬の傷も綺麗に治って 陶器の様な肌も健在だった 「いただきます」 創が作ってくれた御馳走を頬張りながら、他愛ない会話にも花が咲く それだけで 心が満たされていった 「でも 受験終わるまで、俺に気遣わなくて良いからな⁇」 「うん ありがとう」 ニコニコしている様子を見る限り、一人での外出は 本当に大丈夫だった様でホッとした だからこの瞬間 気が緩んでしまったんだと思う 「創の誕生日は何しようか⁇ 9月だしまだ全然先だけど」 「え⁇」 昨日と正に逆のパターン 今度は創の方が きょとんとした顔をしていて その表情に、しまった!!と思ったのは 数秒後の事だった 「あれ⁇ 僕の…」 「ごめん!!」 先に謝ると 創は大きな瞳を 更に見開いている 「実は…創の名字とか誕生日とか書いてある書類貰ってて…黙って見て 本当ごめんな」 「…そうなんだ」 俺は恐る恐る顔を上げたが 創は先程と変わらぬ表情で にっこりと微笑んでくれていた

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