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第162話 憂懼

『大丈夫だろうと思ってはいたけど 本当におめでとう!!』 「ありがとう 物井のおかげだよ」 物井に合格の連絡を入れると数分後に電話がかかってきた 少し話をした後 卒アルに見入っていた創を呼び、携帯を渡した 「物井先生 本当にありがとうございました」 創が嬉しそうに話しているのを見ながら、これから俺の知らない奴ともこんな風に笑顔で話したりするんだろうなとか、そんな事を考え出すと心配で胃がひっくり返るんじゃないかと思う 蓮にすら あんな感情を頂いたりして、この先俺は 大丈夫なんだろうか… 「はい 佑吾」 「ん」 俺のそんな邪な考えなんて知らない創は 無邪気な笑顔で俺に携帯を返してくれた そのまま俺の隣に座り、すりすりと猫の様に俺の腕に頭を擦り付けていて、その仕草には思わずフッと笑ってしまった 「物井 本当に色々ありがとな」 『いや 全然 むしろ…その…』 「その話は無し  何回も言ってるけど 物井が悪いわけじゃないから」 そう 物井は何も悪くない でもあの時の事を思い出すと、今でも自分が殺人を犯さないか心配になる 『桃…ありがと…もし困った事とかあったら何でも言ってくれよ』 「ああ また連絡する」 電話を切ると 横にいた創の頬に触れた 相変わらず真っ白で綺麗でずっと見ていても飽きない きっとそれは 俺だけじゃないと思う 「佑吾⁇」 こうやって首を傾げる仕草一つ堪らない そして何より厄介なのは 創が自分の可愛さを理解していない事 「…創 寝室行かない⁇」 「え⁇ あ……う…うん…」 許可を得た所で 華奢な身体を抱き上げた こんな事を考え出したら直ぐにでも創を抱きたくなってしまい、何度かキスをしながら 寝室の扉を開けた

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