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第187話 軽薄

「そういえば 創って何か部活やる⁇」 「え⁇ 部活⁇」 向かい合っていた健にそんな質問をされて 僕は首を傾げた 「…考えてなかった 健はどこか入るの⁇」 「俺、ずっと空手やってるから空手部入る  中等部の時からそうだし」 「そうなんだ…僕は、多分何もやらないかな…」 昔から 運動はあまり得意では無かった 外に長時間いる事は難しいし、この3年間で筋力は更に落ちてしまった様に感じていた それに 部活をやって長く学校にいるより、早く家に帰って佑吾と一緒に居たかった 「そっか  まぁ、部活やらない奴も多いからな  うち 進学校だし」 「なんだ日向  お前 高等部で空手やんねぇの⁇」 いきなり後ろから声がして ビクッと肩が震えた 振り返った先には ドアに凭れ掛かりながらモデルの様な立ち方をしている人がいて、何度か瞬きを繰り返してしまった 長めの茶髪と同じ色の瞳 下がった目尻の先には 泣き黒子がある ネクタイもしていない着崩した制服が 少し軽薄な印象を受けて、無意識に身体が縮こまっていく 「榎戸先輩!!」 「よ、久しぶりだな」 健は立ち上がると、その人の側まで歩み寄って行く 健の知り合いなら 悪い人じゃないのかな⁇ そう思うと身体の緊張が少しだけ和らいだ 「勿論 やりますよ  今のはコイツの話です  榎木先輩 もしかして わざわざ俺の勧誘に来てくれたんですか⁇」 「いや、入学式で噂になった1年A組の天使ちゃん見に来たの  そしたらお前が居たからさ」 「天使ちゃん⁇」 健が首を傾げると その先輩が僕の事をジッと見つめてきて、咄嗟に直ぐ目の前に居た健のセーターの裾を握った 「金髪で青い瞳に真っ白な肌 噂の天使ちゃんって君だよね⁇」 「え⁇ ち、違います…」 グッと近寄られて 居心地が悪い そんな僕を察してなのか、健が僕と先輩の前に 大きな手をニュッと出してくれた 「先輩 駄目ですよ  創は、桃坂 佑吾さんと恋人なんですから」 「え⁇ そうなの⁇  桃坂先輩のお気に入りらしいとは聞いていたけど、兄貴の方⁇ ふ〜ん…」 何か含んだ様な物言いと目線に顔が上げられない 早く居なくなって欲しくてギュッと目を瞑った 「まっ、それはそれで好都合か  俺 天使ちゃんの事、気に入っちゃたからさ〜」 先輩は健の腕を退けると 僕の事を見てニッと笑った 「俺と付き合ってよ」

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