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第169話 片影 Ⅳ
ご自宅に到着し、門の前で車を停車させると降りる前に蓮様はこちらを振り返った
ジッと見つめられて反応に困る
「…あの⁇」
「佐倉ってさ」
丁度言葉が被ってしまい、自分の口を噤んで蓮様の話に耳を傾けた
「初めて会った時は眼鏡かけてなかったよね⁇
今 そんなに悪いの⁇」
「え⁇」
「俺は…かけてない方が好き」
眼鏡の事を指摘さた上にそんな事を言われて、つい焦ってしまい上手く言葉が出てこない
「…あ…あの」
「……じゃあ…送ってくれてありがとう」
「いえ…とんでもございません」
蓮様がご自宅の門をくぐったのを確認した後、眼鏡を外した
視界は変わる事なく遠くまで見渡せる
ハンドルに体を預けると深い溜息が自分の口から漏れ出ていった
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