169 / 234

第169話 片影 Ⅳ

ご自宅に到着し、門の前で車を停車させると降りる前に蓮様はこちらを振り返った ジッと見つめられて反応に困る 「…あの⁇」 「佐倉ってさ」 丁度言葉が被ってしまい、自分の口を噤んで蓮様の話に耳を傾けた 「初めて会った時は眼鏡かけてなかったよね⁇  今 そんなに悪いの⁇」 「え⁇」 「俺は…かけてない方が好き」 眼鏡の事を指摘さた上にそんな事を言われて、つい焦ってしまい上手く言葉が出てこない 「…あ…あの」 「……じゃあ…送ってくれてありがとう」 「いえ…とんでもございません」 蓮様がご自宅の門をくぐったのを確認した後、眼鏡を外した 視界は変わる事なく遠くまで見渡せる ハンドルに体を預けると深い溜息が自分の口から漏れ出ていった

ともだちにシェアしよう!