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第176話 慕情

その後 年明けに社長室に呼び出された 春から大学生になる長男が、週末や長期休みに仕事を手伝うのでサポートをして欲しいとの事だった 社長直々の命に、勿論その場で頷くと次の日の夜ご自宅に招待してくれた 「初めまして、桃坂 佑吾です よろしくお願いします」 α性の者はカリスマ性があり、優秀な人材が多い事は勿論分かっていたが 佑吾様の煌びやかさは群を抜いていて、その眩しさに思わず目を閉じたくなる程だった 「初めまして、佐倉真也です こちらこそ よろしくお願い致します」 握手を交わした時の笑顔は今でもハッキリと覚えている 初対面の時は尊敬する方のご子息だから、他の人よりも特別に感じているんだと思っていた しかし それは違うんだと直ぐに知る事となる 「なぁ、佐倉はコレどう思う⁇」 「凄い!! 流石 佐倉だな」 今まで親しい友人も作って来なかった自分にとって、佑吾様はあまりにも輝かしくて、あまりにも優し過ぎた 事ある毎に向けられる笑顔は 最初は嬉しかった筈なのに 段々苦しくなっていき、どうにかしてこの気持ちを封印したいと思った時 たどり着いたのが眼鏡だった レンズ一枚隔てるだけで、何でも客観的に見れる感じがしてすごく楽だった 自分の気持ちとも距離を取れている様な気がして、眼鏡は佑吾様の前に出る時の必需品となっていたのだった

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