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第205話 率爾 Ⅳ
家に着くとジャケットを脱ぐ事も忘れ、ベッドに倒れ込んだ
今し方自分の身に起きた事が信じられらず、まるで夢の中にでも居るかの様に頭がふわふわしている
でも…
そっと自分の唇に触れ、思い起こされた感触に顔から火が出る思いだった
初めての口付けが、まさか10歳も年下の高校生とになるなんて想像もしていなかった
寧ろこういう事は 一生縁が無いとすら思っていたのに…
『俺と…番になって欲しい…』
この台詞を誰かに言ってもらえる日が来るなんて、そんな事は絶対に起こらないと思っていた
そもそも蓮様と自分とでは年齢的にも犯罪に当たるのでは…⁇
例えそうで無かったとしても、こんな身分違いの自分となんてやめた方が良いと話すのが彼の為だ…
冷静になればそう思うのに、どうしてもあの顔を拒否出来なかった
というより したくなかった
これだけ建前を並べていてもやはり嬉しかったのだ
蓮様は本当に佑吾様の様で…
むくりと体を起こし携帯を開くとメールBOXに蓮様の名前が入っていて、思わず携帯を床に落としてしまった
そういえば以前訊かれて、何かあったらと教えた気がする
特にそれから何があるという事は無かった為すっかり忘れていた
恐る恐るそのメールを開くと今度は別の意味で 体中の体温が上昇していくのを感じた
“さっきはいきなり本当にゴメン ちゃんと帰れた⁇”
上手く言えないけど何だか恥ずかしい…
取り敢えず家には着いた旨を返すとまた直ぐに携帯が震えた
“良かった また連絡する おやすみ”
その内容を見て 大きく息を吐き出した
何だか胸の真ん中が そわそわして落ち着かない
この気持ちは 一体何ていう名前なのか、それを誰かに問い掛ける事も出来ず、ただただジッと 携帯を見つめていた
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