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第206話 警醒
「わーー!!」
ゲーセンってガチャガチャしてて明るいけど、今の創の目の方がずっとキラキラと輝いている
行った事無いと言われた時はかなり驚いたけど、喜んでもらえてるなら嬉しいなと思った
「創 コレ取れたからやるよ」
「あ 俺も!! ほら!!」
「え⁇ 良いの⁇ ありがとう」
創の満面の笑みに皆固まっている
確かに黄色の熊のぬいぐるみを抱く創は、その辺で キャッキャッしている女子よりずっと可愛い
「健 見て」
「良かったじゃん 創もやってみれば⁇」
「出来るかな…」
「大丈夫だって!! 俺、隣でアシストするし」
「うん」
拙い動作は見ていて微笑ましい
男ばかり五人兄弟の次男の俺からすると創は完全にうちの弟達と被る
入学式の日 教室の隅で縮こまっている姿を見て、何となく放っておけなかったのも多分そのせいだと思う
「取れた!! スゴイ!! 健 ありがとう!!」
「おお!! 上手いじゃん!!
コレ安全ピン付いてるし、鞄に付けとけば⁇」
創がこくこくと頷くので肩に掛けていた鞄にピンを通すとそれは嬉しそうに笑っていて、こっちまで思わず笑顔になってしまう
クラスの奴らも創と仲良くなりたいっていつも騒いでいたから、佑吾さんの許可も出て本当に良かったなと思った
でもさっきから創の事をチラチラ見ているガラの悪い奴らが居て、佑吾さんが渋るのも納得が出来た
絶対に創から離れない様にしよう
「腹減らない⁇ 何か食いに行こうぜ⁇」
一通り遊んだ後 誰かのその台詞を皮切りに外に出れば、ずっと後ろを着いて来ていた奴らから離れられてホッとした
創は気付いてなさそうだし、本当に良かった
しかしこの時の俺は派手な連中ばかりに目を奪われていて、もう一人の不穏な影に気付いてやる事が出来なかった
それが後に大変な事態になる事も知らずに
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