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第209話 精選 Ⅱ

「先輩 本当にありがとうございました!!  でも創には絶対 手出さないで下さいね!!」 「はいはい お前本当元気だな 早く行ってやれよ」 「創 何かあったら直ぐ連絡しろよ⁇」 「うん ありがとう お大事に」 そう言って手を振った直後に車が走り出して、直ぐに健の姿は見えなくなってしまった 健が居た時は座席の真ん中に座っていた僕だけど、佑吾との約束を破っている事が後ろめたくて、ゆっくりと健の座っていた所に移動した 「な〜んで そんな離れんの⁇ 寂しいじゃん」 そう言って榎戸先輩は僕の肩に腕を回し、そのまま先輩の方に引き寄せられてしまった 「せ、先輩!!」 咄嗟に両手で先輩の胸を押したが頭と腰に手を回されてしまい、全力で抵抗してもやっぱり先輩の力には敵わなくて結局抱き締められる形になってしまった 「家着いたらちゃんと離すから…ちょっとだけ…」 先輩の切なそうな声色に腕の力を抜いた どうせ力では敵いっこないし、こうしている事がいつも僕を気にかけてくれる先輩へのお礼になるならとそんな風に思ってしまった それに さっき先輩はちゃんと家の住所を運転手さんに伝えてくれていたから、その間だけならとそんな油断がこの時の僕にはあったんだと思う

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