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第219話 阿鼻叫喚 Ⅲ〜side健〜

「創!? どうした!? 大丈夫か!?」 心配で伸ばした手は凄い勢いで拒絶されてしまい、叩かれた右手を左手で摩った 「やめて!! 僕に触らないで!!」 そう発すると嗚咽混じりに泣き始めてしまい、どうしたら良いのか分からなかった こんな状態の創を俺は保健室に運ぶ事も出来ない 「どうした!?」 「創!? 何かあったの!?」 グランドにいた生徒会長達が創の様子に気が付いて来てくれた 俺が口を開くより先に、バッと勢い良く顔を上げた創 その場にいた全員が驚いて固まっていると創はまた顔を歪ませて会長に勢い良く抱き着いた 「佑吾!!」 その勢いに会長が創と後ろに倒れ込んでしまい、慌てて駆け寄ろうとしたが会長が手を前に出して俺達を制したので黙って見守る事にした 「佑吾!! ごめんなさい!! ごめんなさい!! お家に帰りたい…お家に帰らせて下さい…」 泣き噦りながらそんな事を言う創はとても痛々しくて、見ている俺まで苦しくなった 「創 大丈夫だから落ち着け どうしたんだ⁇」 「…やだ…やだ……恐い……恐い…」 譫言の様にそう繰り返す創の体を少し離そうとしたのか、会長が創の肩を持つと創はそれに諍うように必死でしがみついている 「嫌だ!! お願い 佑吾!! 僕の事、離さないで!!」 会長は一瞬驚いた様な顔をしていたが、小刻みに震える創をしっかり抱き締めてあげていた 「…大丈夫、ずっと傍にいるよ だから一緒に家に帰ろう」 「…うっ…うぅ……うん…佑吾…好き…好き…離れたくない…」 その言葉をもらった創は少しだけ落ち着いた様に見えた 抱き合っている二人の姿は何だか現実離れしていて少しドラマッチクに見え、暫く見惚れてしまっていた その時 横から「…良いなぁ」と小さな声が聞こえて、無意識に隣にいた松岸先輩を見た 先輩は切なそうな顔つきで二人を見ていて不謹慎かもしれないけど、その表情がすごく可愛いなと思った

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