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第223話 亢奮

「…ん」 目を覚ますと腕の中に何かある事に気が付いて、ボーッとする頭でそれを広げた それはうちの学校の指定ジャージで誰のだろうと思い、腕の所に刺繍されている筈のイニシャルを探した 「それ、桃坂先輩のだよ」 頭上からそんな声が聞こえてゆっくり顔を向けると榎戸先輩に頭を撫でられた 「大丈夫⁇ 具合悪かったの⁇」 「…ここ」 「保健室 なんか桃坂先輩に運ばれて来たけど」 「蓮さんに…」 そう言われてまたジャージに視線を落とすと腕の部分には R.Mと書いてあって、確かにコレが 蓮さんの物である事が分かった それと同時に先程の事が鮮明に思い出されて身体がガクガクと震え始め、勝手に涙が溢れてきた 「創!? どうした!?」 「…あ…あ…」 先輩の問い掛けに上手く応える事が出来なかった僕は、佑吾と同じ匂いがする蓮さんのジャージを強く抱き締め、何とか心の均衡を保とうとしていた

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