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第229話 深意 Ⅳ

「…分かりません  そうかもしれないし、そうじゃないかもしれない」 「ほら…だったら」 「でも…今の僕が佑吾以外の人を好きになる事は絶対にありません」 「創…」 「あの時 佑吾が僕を見つけてくれて、今一緒にいてくれる  それは揺るがない事実で、それがあるから僕は今すごく幸せで…  だから これからもずっと一緒にいたいのは佑吾だけなんです…」 僕がそう言うと、ずっと静かに隣にいてくれた佑吾がギュッと手を握ってくれた 見上げるととても優しい表情で僕を見つめてくれていて、胸の奥が嬉しい苦しさでいっぱいになった 「だから…先輩がこうやって優しくしてくれるとどうしたら良いか分かりません…  先輩の気持ちに僕は応える事が出来ないので…ごめんなさい」 僕の言葉に先輩は小さく息を吐くと今まで見てきた中で、一番優しく笑ってくれた 「…分かった  まぁ、今後の事なんてまだ分からないし、俺の親切なんてラッキーくらいに思っておいてよ  俺がしたくてしてるだけだからさ」 「今後の事が分からないってどういう意味かな⁇」 僕達のやり取りを何も言わずに聞いていてくれた佑吾がにこやかな表情で先輩にそう尋ねた 「え⁇ そのまんまですけど⁇  だってまだ番になってないですよね⁇」 「ここまでハッキリと振られてるのにしつこい男だな君も…  それに、あと半年もしないうちに俺達は番になる」 「そしたらその時まで、創が嫌がらない程度に俺もやりたいようにやります」 「はあ⁇」 先輩と話している佑吾は僕にとってとても新鮮でいつもの佑吾とは違って見える 昨日はそれがとても怖かったけど、今日は昨日の様な雰囲気も無く、僕の話も聞いてくれてとても安心してこの場にいることが出来た 僕は2人のやりとりを見ながら、佑吾が握ってくれていた手をそっと握り返した それに気がついた佑吾は、僕の方を見ると優しく笑ってくれた   僕にとって佑吾が全て それは今も変わらない 僕は自分の容姿も過去も好きな物は何も無いけど佑吾へのこの気持ちだけは自信を持って言えるよ たった一人の 僕の大好きな人

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