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第235話 心憂 Ⅴ 〜side健〜

無事 課題を鞄に納め、理央先輩と昇降口を出て並んで歩いていると隣で先輩が「…え⁇」と呟いた 視線の先を辿ると校門の所に生徒会長が立っていて、俺は二人を交互に見つめた 「…蓮君⁇」 先輩の呼び掛けに気付いた会長は顔を上げるとまず隣にいた俺を一瞬ジッと見つめ、直ぐに先輩に視線を移した 「遅かったな 日向と一緒だったのか」 「うん…あの…もしかして…僕の事 待っててくれたの⁇」 さっきとはまた違う瞳の潤み方 理央先輩の可愛い顔が一段とキレイに見える それなのに何だろう…すごく悔しい そんな事を思っていたからか、無意識ではあったけど鞄を持つ手にギュッと力が入った 「ああ メール送ったんだけど」 「え!? ご、ごめんね!? 携帯 全然見てなくて…」 先輩はあたふたしながら鞄から携帯を取り出している その姿はすごく可愛いのに胸の辺りがもやもやして落ち着かない 「榎戸が学校の周りに不審者が居たって言ってたし、松岸一人で帰すの心配だったから…  教室行こうかとも思ったんだけど、すれ違ったら元も子もないしな」 「あ、ありがとう…でも 良かったのに…僕の事なんて」 先輩が携帯を口元で握り締めながらそう言うと会長は先輩の頭にポンと手を置いた 「自分の事そんな言い方するなっていつも言ってる  それに松岸に何かあったら俺が嫌だ」 「……ありがと」 ああ…そっか… 先輩 会長の事好きなんだ… 「もう遅いし、行くか  日向は家どの辺りなんだ⁇」 「…あ、割と近いです」 理央先輩を真ん中に三人で歩き出した たわいも無い会話の間も理央先輩は俯きがちで、でもその様子を会長は特に気に留めている感じがしなかった ねぇ会長、理央先輩の顔見て…⁇ 嬉しいのと切ないのが入り混じって、めちゃくちゃ唆る顔してるから

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